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蜜蜂と遠雷映画でアヤがプロコフィエフ3番マサルが2番なのはなぜ?原作と演奏曲が逆の理由

2019/10/11
 

2019年10月4日公開「蜜蜂と遠雷」は若きピアニストたちの登竜門といわれる国際ピアノコンクールに挑戦する4人の出場者の出会いや葛藤、そして成長していく姿を描いた物語です。

原作は史上初、直木賞と本屋大賞をW受賞した恩田陸さんの小説「蜜蜂と遠雷」。

脚本と監督は石川慶監督。2017年公開の「愚行録」は16年ヴェネチア国際映画祭オリゾンティ・コンペティション部門に選出され、ヨコハマ映画祭森田芳光メモリアル新人監督賞、新藤兼人賞銀賞、日本映画プロフェッショナル大賞新人監督賞の三冠に輝いた注目の映画監督です。

映像化は不可能と言われた原作にスタッフ・キャスト・楽曲制作まで妥協なく挑み実写化が実現。特に音楽の再現に一音まで拘ったとのこと。一流ピアニストとオケによる音の再現は素晴らしいです。

この作品。小説を読んでから、映画をみた人はこんな疑問が。
「あれ?最終予選の演奏曲は亜夜がプロコの2番でマサルが3番じゃなかった?」

原作ファンであればすぐに気づく疑問かと思います。
この理由についてまとめた内容をご紹介します^^

蜜蜂と遠雷映画PVにも使用されたプロコフィエフ2番と3番

本選のオーケストラ。原作では亜夜がプロコフィエフ2番、マサルがプロコフィエフ3番のピアノ協奏曲を演奏しました。しかし、映画では亜夜がプロコの3番、マサルがプロコの2番を演奏しています。

原作と映画で2人の演奏曲が逆になっていますが、いずれも「蜜蜂と遠雷」のクライマックスで演奏されるには変わりありません。

映画を宣伝するPVでもこの2曲は使用されています。

映画PVでプロコフィエフ2番・3番が使われている部分

映画のプロモーションPVではプロコの2番と3番両方が使われています!

PVの0:33~0:48までがプロコ2番の2楽章の1部。
鹿賀丈史さんのセリフ「失礼。ピアノの音が出なくなったのかと思って」まで。
1:10頃「栄伝さん時間です」の後がプロコ3番1楽章の1部。

このPVを見る限りでは亜夜とマサルのどちらが演奏するかは分かりませんね。

実際のプロコの2番、3番の音源はこんな感じです。

プロコフィエフ/ピアノ協奏曲第2番ト短調第2楽章

プロコフィエフ/ピアノ協奏曲第2番ト短調第2楽章
ピアニスト デニス・コジュヒンの演奏

プロコフィエフ2番はここ15年くらいの間でコンクール本選の「勝負曲」に。ソリストの実力が存分に発揮されるコンチェルト。ピアノ独奏が全面にでます。

プロコフィエフ/ピアノ協奏曲第3番ハ長調

プロコフィエフ/ピアノ協奏曲第3番ハ長調
ピアニスト アルゲリッチ1983年の演奏。ピアノの入りは2:30頃です。

プロコフィエフ3番は昔からの王道で知名度が最も高い曲の一つ。魅力的な旋律が次々と出てスピーディな展開。ピアノとオーケストラとの掛け合いの絶妙さが大きな特徴。

原作の中で表現されたプロコフィエフ2番と3番

ピアノ協奏曲は物語のクライマックス本選で演奏される曲。
当然、ストーリーの中で重要な意味を持つ曲です。

このプロコについては亜夜とマサルは話中でこう表現しています。
2番「ノワール系」
3番スターウォーズのような「スペース・オペラ」
2次予選のころ、亜夜とマサルがコンクールのプログラムをみて話をする時です。

この際に、なぜ本選でそれぞれがこの曲を選んだかが書かれています。
亜夜の気持ちとして「こんなに音楽のイメージが共有し合える人はめったにいない」とも表現され2人に通じる近しい音楽観があらわされています。ここはとても微笑ましいシーンでした。

プロコ3番はジンが選ぼうとしていた曲としても登場していました。

そして、プロコフィエフ2番は亜夜にとって「宿題」とも表現されている曲。
亜夜がかつて本番をすっぽかし、表舞台から姿を消すことになった時に弾く曲でした。

母親の死をきっかけに13歳で表舞台から去った亜夜。そこから抱えていたトラウマをこのコンクールで打開する=その時に演奏する予定だったプロコ2番を演じる、というのは物語の大きなテーマの1つだったと思います。

けれど、なぜそれが映画化では設定が変更されたのでしょうか?

映画でアヤがプロコ3番マサルが2番を演奏した理由

予め公式ツイッターで発表されたプロコ演奏曲入替りのお知らせ

亜夜役の松岡茉優さんから大切なお知らせとして試写会開始後に発表されていました。

松岡さん映像化に際し、亜夜がクライマックスで弾くにはプロコの3番がいいんじゃないかという結論になった。恩田陸さんにも快諾をいただいてます。とお話されていました!

映画と原作で演奏曲が逆になった石川監督からの理由説明

石川監督へのインタビュー記事でさらに詳しい理由が判明しました。

僕がリクエストしたんです。

最初の理由としては、(亜夜の演奏を担当する)河村尚子さんのレパートリーの中で、得意曲が「第3番」だとお聞きしまして。ただ、そのことを聞いた時点では、(「第2番」から「第3番」に)変更するという発想はありませんでした。

僕が曲を聴き込んでいた時に、YouTubeでマルタ・アルゲリッチの昔の「第3番」をずーっと聴いていたのですが、めちゃくちゃかっこよかったんですよね。

何度も聴いているうちに、映画のクライマックスはこれがいい!と思ったんです。

出典:ひびクラシック 石川慶監督インタビュー「蜜蜂と遠雷」にまつわるえとせとら#5

石川監督は映像を通して聴きたくなるのはこれかなと思われたそうです。当然、恩田陸さんにもお伺いをたて、快諾を得た上で決められたそうです。

映画化に際し、原作の恩田陸さんは「映画でしかできないことをやってください」とお願いされたそう。そして、実際の映画を観た恩田さん「原作のエッセンスを抽出した上で、ひとつの作品として仕上げられたことが嬉しかった。」ともコメントされています。

ストーリーにおいて、楽曲の選定も重要な要素。
石川監督にとっても拘りの部分で、考えに考え抜いた選択だったんですね。

映画のクライマックスにプロコ3番が使われたことの私の考察

プロコの2番はト短調、プロコの3番はハ長調。

とても、大雑把な言い方ではありますが…「一般的に短調は暗い感じ・長調は明るい感じ」とも表現されます(←本当に大雑把な表現です。)

亜夜のトラウマからの脱却を表現する物語のクライマックスには、パッと明るく華やかなプロコ3番のピアノの入り、躍動感あふれる曲調オケとの掛け合いは映像化としてふさわしかったのではないでしょうか?

まとめ:映画でアヤがプロコの3番を弾くのは石川監督のリクエスト

・映画の最終、本選で亜夜がプロコ3番マサルが2番を弾いたのは石川監督のリクエスト

・原作者の恩田陸さんも快諾している

・「映画1本自体が音楽」ドキュメンタリーとしてシュッと駆け抜ける作品に仕上げるクライマックスには亜夜がプロコ3番を弾くことがいい!と判断した演出。

 

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